「仕事の効率が落ちたらココアを飲む」が正解?たった1杯で脳への酸素供給が向上する効果

今回は、ココアと脳機能の関係についてご紹介します。

 ココアの原料となるカカオの栽培は、メキシコ湾南岸に暮らしていたオルメック人と呼ばれる人々が最初に行ったと考えられています。大規模栽培が始まったのは紀元前600年頃、栽培方法がマヤ人に伝わった後のことで、熱帯地方のユカタン半島から中米にかけての地域でつくられたカカオが、行商人によって気温が低い北部のアステカ人にもたらされました。

 アステカ人は、カカオの実を炒って挽いたものを人間の血に見立てて、宗教儀式に用いました。そのような経緯から、カカオの実は非常に価値が高く、貨幣として流通もしていたといいます。

 カカオが世界的に知られるようになったのは、アステカ人が栽培していたカカオを16世紀初頭にコロンブスの率いる探検隊が発見し、その後、アステカ帝国を征服したコルテスがスペインに持ち帰ったことがきっかけとされています。

 ココアの名称はスペイン語のカカオから来ていますが、その語源はマヤ語およびアステカ語のカカワであると考えられます。私たちが飲用するココアのような、カカオ豆からつくった飲料をアステカ語ではカカフアトルと言っていましたが、これをもとにスペイン人によってつくられた言葉がチョコレートです。

 私たちは砂糖や脱脂粉乳が加えられておいしくされた調整ココアを飲んでいますが、アステカの神官などは、それらの含まれていないピュアココアを飲用していたと思われます。ピュアココアはとても苦いのですが、なぜそのようなものをあえて飲用していたのでしょうか。意外と古代アステカ人は、今回科学的に示されたようなココアの効能を経験的に知っていたのかもしれません。

ココア1杯で脳が酸素を取り込みやすい状態に
 英国・バーミンガム大学の研究者らによる、ココアの脳に対する作用の興味深い論文が注目を集めています。ココアを1杯飲むだけで、脳が酸素を取り込みやすい状態になるというのです。人間の脳は1200~1500グラムで体重に占める割合は2%程度に過ぎませんが、全身で消費される酸素のうち20%を消費しています。脳は情報処理だけでなく、全身の臓器の働きや運動能力まで、人間の持つ機能のほとんどの制御を司っていますので、脳に供給される酸素がわずかでも不足すると、その影響は甚大です。

 今回の報告によると、カカオには「フラバノール」と呼ばれる物質が豊富に含まれており、フラバノールには脳への酸素供給を向上させる作用があることが確認されたということです。

 フラバノールはココアのほか、リンゴ、ブドウ、茶、ベリー類などにも豊富に含まれている化学物質ですが、フラバノールはさまざまな化学物質の総称で、食品の種類によって含まれているフラバノールの化学構造には違いがあり、特にカカオに由来するフラバノールは血管機能の改善に効果があるとされています。その効果は絶大で、ココアを1杯摂取しただけでも効果が表れると以前からいわれていましたが、その具体的な効果についてはこれまで明らかになっていませんでした。

便の臭いが改善?!ココアの意外な効果  一杯で記憶力アップも

チョコレートやココアの原料であるカカオは、かねてから体に良いと評判だ。カカオに含まれるポリフェノールの抗酸化作用はよく知られているが、そのほかにも意外な健康効果がありそうなのだ。

 森永製菓は、ココアを使用した実験から、記憶力や判断力を一時的に上げる効果が期待できると発表した。

 

 実験では、ポリフェノールの一種である「カカオフラバノール」(30ミリグラム/約1杯分)を含むココアと、ココア風に調整した飲料を飲んだグループに分け、30分後に視覚記憶テストなどを実施。視覚記憶テストにおいて、ココアを飲んだグループの正解数が、ココアではない飲料を飲んだグループと比べて約21%高いという結果となった。

 森永製菓は、実験結果を受けてこう解説する。

「これまで多数の研究がありましたが、1杯分のココアだけで効果が確認できたのは新しい知見です。メカニズムについてはまだ検証されていませんが、他の研究ではカカオフラバノールが脳の血流を促すことが報告されています」

 持続時間は検証していないので、残念ながら効果は一時的かもしれない。

 さらに、自治医科大学の間藤卓教授は、介護の現場や便秘で悩む高齢者にココアの活用を提唱している。

「ココアに含まれるセルロース、リグニンなどの食物繊維が腸で働き、便通を促し、便臭を減らしてくれます」

 高齢者は、歯が弱り、柔らかな食品を好むため、食物繊維が不足がちになる。腸の運動も弱ってくるので便の回数が減って硬くなりがちだという。

「トイレでいきみ過ぎて脳いっ血を起こす人もいるので、無理に出そうとせず、スムーズな便通にココアを試してみてください。それでも難しければ、我慢せず受診してください」

 これから冬本番。健康管理の強い味方になりそうなココアのパワーをこの冬に試してはいかがだろう。

ファイザー製ブースター、65歳以上と高リスク者限定-FDA委勧告

「成長する考え方」と「成長できない考え方」の違いが20年の研究で明らかに

自分の持っている知性やクリエイティビティを天性のものであり、自分の力ではどうにもならないものと考えている人も多いのですが、それこそが人の限界を決める思い込みであり、「成長する思考態度」を持つと人は自分の知性や能力を伸ばしていくことができる、ということが、スタンフォード大学の教授である心理学者のCarol Dweck博士の行った20年にわたる研究で明らかになっています。


「固定された思考態度」は根本に「自分をよく見せたい」という欲求があるため、失敗する可能性がある挑戦を避けたがります。障害にぶつかった時のあきらめも早く、努力は実を結ばないと考えがちです。批判に対し、例えそれが有用なものであってもネガティブな意見であればフィードバックを無視してしまい、他人の成功に脅威を感じます。そして自分の能力を出し切ることができず、早い段階で能力の伸びが頭打ちの状態へと移行してしまいます。

一方「成長する思考態度」はまず「学びたい」という欲求から始まるため、挑戦を喜んで受け止め、逆境にぶち当たっても粘り強く堪えます。努力は熟達への通過点と考え、批判から学び、他人の成功からも学んだりインスピレーションを受けたりするという流れ。根本にあるのが「学びたい」という考えのため、全てを雪だるま式に吸収し、高い成功レベルへと到達できるというわけです。


つまり、「固定された思考態度」の人は世界を決定論的な見方で見ているため、今自分がやっている「過程」に意味を見いだせず、「成長する思考態度」は自由意思を行為者に与えるのです。

Dweck博士は大人と子どもの両方を対象とした20年に及ぶ研究で「人格や知性は本人の生まれ持ったものではなく、成長させることができる」と信じることが、大人にも子どもにも著しい変化をもたらす、という発見をしました。この発見はMindset: The New Psychology of Successという著書にまとめられています。


Dweck博士によると、学校の中や社会の中、人と人の関係の中でも、結果を証明しようとする人は多くいるそうです。彼らは自分の持っている能力や素質は限られており、自分の知性や人格がどんな状況でも評価対象にあると考えているため、「自分は失敗しているか、成功しているか?」「賢く見えるか、バカに見えるか?」「受け入れられているか、排除されているか?」「勝者か、負け犬か?」ということに重きを置いてしまいます。

一方で自分の素質は努力によって伸ばすことが可能だと考えている人は上記とは別の考え方をします。人によって持っている素質は別々ですが、誰しもが経験や勉強を通して素質を育てたり変えたりすることが可能であると考えるのです。もちろん、努力をしたからといってアインシュタインやベートーベンのようになることは必ずしもできませんが、自分の潜在能力を「まだ分からない」ものと考えることで、情熱を持ちトレーニングを何年も行うことができるのです。

Dweck博士が行った研究の1つに4歳の子どもを対象にした実験があります。1つのグループには「固定された思考態度」を教え、もう片方のグループには「成長する思考態度」を教えてから、それぞれのグループに2種類のジグソーパズルを選択させたところ、「固定された思考態度」のグループは自分の能力を示せるように簡単なパズルを選び、研究者らに対し「間違えない」という自分の能力を示し、反対に「成長する思考態度」のグループは「固定された思考態度」のグループのことを「新しいことが学べないのにどうして何度も同じパズルを選ぶのか」と困惑していたそうです。つまり、「固定された思考態度」のグループは自分を賢く見せるための確実な成功を求め、「成長する思考態度」のグループは自分の能力を伸ばせる方を選んだのです。これは彼らの「成功」の定義が賢く見せることではなく、賢くなることを意味するためだと考えられます。

また、Dweck博士は著書の中で7年生の少女の発言も引用しています。彼女は「知性は、もともと備わっているものではなく、自分で育てなければならないものだと思います。答えが分からない時、多くの子どもが出された質問に対し、手を挙げないでしょう。でも私はいつも手を挙げます。なぜなら私の答えが間違っていたとしたら、それはちゃんと正されるからです。もしくは手を挙げて『どうやって解くのですか?』とか『分からないので、手伝ってもらえますか?』と尋ねます。そうすることによってしか知性は向上しないからです」と言い、2つのグループの考え方の違いをハッキリと言葉にしました。

さらに、Dweck博士らは10代の少年少女を中心としたテストを実施。それぞれの子どもに非言語的な10個のIQテストを解かせ、2種類の方法で彼らを褒めました。1つの方法は「わあ、△点も取ったの、いい点ね。あなたは頭がいいわ」というもので、もう1つは「わあ、△点も取ったの、いい点ね。よく頑張ったわ」というもの。つまり、一方は能力を褒め、もう一方は努力を褒めたのです。

すると、能力を褒められた子どもは次に2つの問題を選択する際、難しい方の問題を避け、反対に努力を褒められた子どもたちの90%は学びの得られる難しい方の問題を選んだのです。そして興味深いことに、その後にDweck博士らが子どもには解けないような難しい問題を与えた時、前者、つまり「固定された思考態度」のグループの子どもは自分のことを頭が悪く、才能がないと考える傾向にありました。

このことから、2つの考え方は挑戦に対する「楽しみ方」に大きな影響を与えることがわかります。どちらのグループも最初の問題は簡単に正解できるため楽しめるのですが、問題が難しくなっていくと、能力を褒められた子どもは楽しむことができず、一方、努力を褒められた子どもたちは自分の能力を伸ばしていけるので難しい問題でも楽しめるわけです。前者が問題に正解できないことでどんどんやる気をなくして行くのに対し、後者はどんどん成長していきます。

そして「固定された思考態度」の持つ最も大きな弊害は、「固定された思考態度」のグループの子どもたちが嘘をつくということにありました。彼らは「テストの点数を仲間に伝えるために手紙に書いて」と言われると、賢く見られるために嘘の点数を書いたのです。

この結果は2つの考え方の成功に対する考えも左右します。「成長する思考態度」のグループは「一生懸命やっている時の成功は自分を高める」と考えますが、「固定された思考態度」のグループは「成功は自分の卓越さを証明するものであり、偉大な人になることは無名であるよりも価値のあることだ」と考えます。

Dweck博士は上記のような2つの考え方を、仕事や教育ではなく、愛にこそ適応させなければならないと述べています。人と人の関係において「固定された思考態度」を適応させると、自分の理想の相手が自分自身を高みにやり、自分に完全さを感じさせてくれると信じますが、「成長する思考態度」のグループは自分の間違いを認めてくれ、愛を持って成長を手助けしてくれる人をパートナーに好みます。「固定された思考態度」こそが間違った「真実の愛」の根本にあるとはDweck博士。「固定された思考態度」のグループは「相手が自分たちの関係をどう考えているか」ということについて自分とわずかな違いがあっても、脅威や相手に対する敵対心を感じるとのこと。

後退なくして達成がないように、素晴らしい人間関係には問題や争いが必ずあります。

しかし「完全さ」を重視する人々は争いが起こると多くの場合、相手の性格に欠点があるとして相手を責め出します。そして相手をさげすみ、相手との関係そのものを不満に思う傾向にあるようです。一方「成長する思考態度」のグループは相手を責めず、欠点を認め、欠点があっても自分たちは十分な関係にあると考えます。彼らにとって争いの原因はコミュニケーションの問題で、相手の性格上の欠点ではないのです。

「たかが考え方1つ」と思いがちですが、スイスの哲学者アンリ・フレデリック・アミエルが「心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる 運命が変われば人生が変わる」と残したように、自分の人生を変えるにはまず考え方から変えるのが重要ということが20年の研究で証明されたのでした。

忘却曲線と復習をした時の比較

忘却曲線は、私たちが取り入れた情報をどのように保持したり、取り除いたりするのかを説明したものです。1時間の講義をもとにしています。

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忘却曲線と復習をした時の比較

1日目の講義開始時には、あなたは何も知らない、つまり0%の状態です(曲線がベースラインから始まるところ)。講義の終わりには、あなたは100%の知識を持っていますが、それはどんなによく知っていても同じです(曲線が最高点まで上昇するところ)。

2日目までに、その講義で学んだ情報を何もせず、もう一度考えたり、読んだりしなかった場合、学んだことの50%~80%を失ってしまいます。私たちの脳は、歩道で聞こえてきた会話の断片や、前の人が着ている服など、常に一時的な情報を記録しています。その情報は必要ではなく、二度と出てこないものなので、私たちの脳は、実際に保持しておきたい講義で学んだことと一緒に、すべて捨ててしまうのです。

7日目にはさらに記憶が減り、30日目には元の時間の2~3%程度の記憶しか残っていないのです。これはちょうど中間試験の時期と重なり、試験勉強をしているときに「今まで見たことがない」と感じるのは、実際に一から学び直す必要があるからかもしれません。

 

曲線の形は変えられる!?

同じ情報の塊を再処理すると、そのデータを保持するように脳に大きな信号が送られます。同じことが繰り返されると、脳は「ああ、また出てきた、これは持っていたほうがいい」と言います。同じ情報に繰り返し触れると、長期記憶の中で情報が「活性化」されるまでの時間が短くなり、必要なときに情報を取り出すことが容易になるのです。

復習する時間を作ることで、情報を入手してから24時間以内に10分間の復習をすれば、カーブはほぼ100%に戻ります。1週間後(7日目)には、同じ教材を5分で「再活性化」させ、再びカーブを上げます。30日目には、あなたの脳は2~4分で「はい、わかっています」というフィードバックを得られるようになります。

学生の皆さんは、自分のスケジュールでは毎日復習の時間を作るのは無理だと感じていることが多いようです。しかし、この復習は素晴らしい時間の投資なのです。復習をしないと、1時間ごとに40~50分かけて学習し直さなければなりませんが、そんな時間がありますか?詰め込み学習では、長期記憶に情報がうまく保存されることはほとんどありません。そのため、学期中の課題や試験準備のために教材にアクセスすることが難しくなります。

履修状況にもよりますが、一般的には、平日は毎日30分程度、週末は1.5~2時間程度を復習に充てることをお勧めします。もしかしたら、1週間のうち4日か5日しか復習する時間がなくて、曲線が中途半端なところに留まっているかもしれません。復習を全くしなかった場合の保持率が2~3%であることに比べれば、はるかに良いことです。

多くの学生は、定期的に復習することで、どれだけ理解しているか、どれだけ理解して保持しているかに違いが出ることに驚いています。2週間ほど試してみて、どんな違いがあるかを確認してみてはいかがでしょうか。

新型コロナ感染のジャンポケ斉藤 入院していた 41度の高熱も受け入れ先なく 後遺症でKOC準決勝辞退

新型コロナウイルスに感染したお笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二(38)が8月14日から12日間、症状悪化により入院していたことを5日、トリオのYouTubeチャンネル「ジャンポケTV」で明かした。明日6日から仕事復帰する。療養期間終了後も血中の酸素飽和度が低くなるなど後遺症が残り、仕事を休んでいた。トリオは「ネタができるコンディションではない」と今月2、3日に東京・日経ホールで行われたコント日本一決定戦「キングオブコント2021」準決勝への出場を辞退した。

 8月10日に発熱し、PCR検査を受けた結果、陽性と診断。斉藤は「発症から5日目、(8月)14日から25日まで12日間、入院していました」と報告。8月25日から、この日9月5日まで自宅療養していた。

 リーダー・太田博久(37)は「コロナの自宅療養は終了していたんですが、後遺症がありまして。斎藤さんの体内酸素の数値が、ちょっと動いたり、声を出しりした時に、どうしても90前半まで、すぐに落ちてしまうということで、仕事ができるコンディションではない。ここが安定するまで自宅で療養しようと会社側ともお話しをして、それが落ち着いてきて、明日から本格的に復帰していこうということで、この動画で説明させてもらうということで」とした。

 斉藤によると、陽性と診断された8月10日に「今までにない苦しさだな」と救急車を呼んだが、入院先が見つからず。救急車を呼んだ時点で、熱は41度まで上がっていた。

 2日目、さらに病状が悪化。妻が救急車を呼んだ。太田が送ってくれたパルスオキシメーターで血中の酸素飽和度を計ると、80%台の時もあった。救急隊からは肺炎、中等症と言われたが、入院先は見つからず。3日目から薬を服用、酸素も吸入。ようやく5日目に受け入れ先が見つかり、入院した。

 「キングオブコント」については「自分たちには大きな大会で、ネタを書いている太田、台詞を覚えてくれるおたけに対しても頑張りたいと思い、完ぺきな状態で臨みたかったんですが、自分の中でも完治していないという現状がありまして、5分間ネタをやるというのは難しいかなというので、本当に申し訳ないですが、今回は辞退という形で。キングオブコントに出て頑張っている芸人さんたちにも、この状態で出るのは失礼だと思いました」と説明。

 「入院した時に医療従事者の方々に毎日のように優しく自分の治療にあたってくださって。皆さんが一番大変な時期なのに、救われました。もっとひどくなっても、おかしくなかったので、今こうやって仕事復帰できて、みんなの前でしゃべれるというのは、すべて医療従事者の方々のおかげです」と感謝した。

 おたけ(38)も8月13日に感染し、10日間の自宅療養で回復した。

デルタ株に変異4つ加わると、現行ワクチンの効果が大幅減…3つ変異はすでにトルコで確認

新型コロナウイルスのうち感染が拡大しているインド由来の変異ウイルス「デルタ株」について、特定の変異が四つ加わると、現行のワクチンでできた抗体の効果が大きく弱まる恐れがあるという研究結果を、大阪大のチームがまとめた。チームは「デルタ株に対応したワクチンの開発が重要だ」と指摘している。

 

 現在使われている米ファイザー製や米モデルナ製のワクチンは、出現初期の新型コロナの遺伝情報をもとに作られている。

 荒瀬尚(ひさし)・大阪大教授(免疫学)らのチームは、現行のワクチンで作られる抗体の一部はデルタ株に結合しないことを確認した。ただ、全体としてはデルタ株に対する有効性は維持していたという。

 しかし、デルタ株に人工的に四つの変異を加えた「デルタ4+」で調べると、従来株でできる大半の抗体が結合できず、ウイルスの感染力も強まった。デルタ4+は世界で未検出だが、うち三つの変異があるデルタ株はトルコで見つかっているという。

 一方、デルタ株をもとに作られた抗体は、従来株、デルタ株、デルタ4+の働きをいずれも抑えることを確認した。デルタ株に対応した改良ワクチンは、ファイザーやモデルナなどが開発中だ。

 東京農工大の水谷哲也教授(ウイルス学)の話「デルタ株に変異を加えないためにも、まずは感染者数を減らすことが重要だ。デルタ株に対応したワクチンの実用化も急ぐべきだ」

からあげに潜む健康リスク 「国産鶏肉」でも揚げ油、からあげ粉に注意

スーパーのお総菜、家飲みのおつまみ、子供のお弁当……家でつくるのはちょっとめんどうだけど、食卓に上るとやっぱりうれしい「鶏のからあげ」。ニチレイフーズが発表した調査によると、2020年のからあげ消費量は前年比167%を記録しており、コロナ禍で人気が加速している。だが、カラッと揚がった衣にも、ジューシーな肉にも、“鳥肌モノ”の危険が隠されているという。

 

 ブラジル産、タイ産鶏肉などは品質が疑問視されて欧米で輸入禁止になるなど、その健康リスクが指摘されている。一方で、「わが家ではいつも国産の鶏肉を買うから大丈夫」と、安心するのはまだ早い。輸入鶏肉は、気づかぬうちに食卓に上っている。

 スーパーの総菜や外食、冷凍食品、デリバリーのからあげに使われる鶏肉は、原産国が表示されない場合が少なくない。表示されていない場合は、輸入肉だとみた方がいい。

 揚げ油にも着目すべきだ。米アイオワ大学などの研究では、「フライドチキンや魚の揚げ物をよく食べる人は、それ以外の揚げ物を食べる人と比べて心血管疾患のリスクが高い」という結果が出た。危険性の高い鶏肉を排斥している“フライドチキン大国”アメリカでなぜ、こんな結果が出るのか。その理由は油にある。米ボストン在住の内科医、大西睦子さんが語る。

アメリカでは家で揚げ物をする人は少なく、店で売っているものを買って食べるのが一般的です。店舗で使われる油は、日本で流通しているものと大差ないコーン油。何度も繰り返し加熱して使用することで、リノール酸などの不飽和脂肪酸が減少し、人体にとって有害なトランス脂肪酸が増えます」

 トランス脂肪酸は、血液中の悪玉コレステロールを増やして、善玉コレステロールを減らす。その結果、血管をふさぐプラークを増やし、動脈硬化や心血管疾患を引き起こす。また、腸管組織を傷つけて下痢などの原因にもなる。

「よく火を通す必要がある鶏肉や白身魚は、長時間揚げる工程で、そのほかの揚げ物以上に油を吸収します。また、揚げる前に塩分の添加が多いことも原因の1つだと考えられます」(大西さん・以下同)

 一方で、スペインやギリシャなど、日常的にオリーブオイルを料理に多用する国では、心疾患や血管系疾患、さらにはがんで死亡する人が少ないことがわかっている。

「まだ検証の余地はありますが、質のいいオリーブオイルには、トランス脂肪酸がほとんどなく、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富です」

 実際に、米ハーバード大学の研究でも、摂取する油のトランス脂肪酸のうち2%を不飽和脂肪酸に置き換えると、心疾患のリスクが53%も減少することがわかっている。とはいえ、揚げ油に毎回オリーブオイルを使うのは難しい。せめて使い古したものではなく、新しいサラダ油などを使い、二度揚げも避けてほしい。
「からあげ粉」は小麦粉で充分

 では、出来合いのからあげだけを避ければ、100%安全なのか──陰の主役「からあげ粉」にも、疑念は潜んでいるかもしれない。

 市販のからあげ粉はさまざまあるが、原材料表示を見渡すと、「調味料(アミノ酸等)」や「チキンエキス」「乳化剤」などの名称が確認できる。このうち「調味料」とは、アミノ酸などからなる旨み成分のことを指す。2種類以上の食品添加物を合成してつくられていることを意味しているが、具体的にどの食品添加物を使用しているか表示があることは少ない。

「チキンエキス」という調味料は、鶏肉の旨み成分を抽出したもの。明記されていない限り、原材料の鶏肉がどの国で加工されたものなのか、細かい情報は知りようがない。

「乳化剤」は、水と油をなじませるために使用される添加物だ。大豆由来の「大豆レシチン」や、厚労省が「食品に添加する限りでは人体への悪影響はみられない」と発表した「グリセリン脂肪酸エステル」などの合成乳化剤も含まれるが、これも同様に一括表示が可能なため、どの国で加工されたどの物質が入っているのか、見分けることは困難なのだ。

 おいしくて、安心できるからあげを食べるなら、鶏肉、揚げ油、粉に至るまで、すべて国産で揃えることはマスト。衣は市販のからあげ粉を使わなくとも、小麦粉や片栗粉で充分だ。そして何より、新しいきれいな油を使い、揚げたてを食べるのが吉。からあげだけは、手抜きをすると身を亡ぼすかもしれない──。

内村光良、ウンナン&ダウンタウンの本当の仲 長年の付き合いも「険悪になったことは本当に一度もない」

お笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良(57)が4日ニッポン放送「サタデーミュージックバトル 天野ひろゆき ルート930」(土曜後1・30)に出演。長年の付き合いがある、お笑いコンビ「ダウンタウン」との関係性について語る場面があった。

 内村は8月29日放送のフジテレビ系音楽特番「FNSラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~」(後6:30)で松本人志(57)と7年ぶりの共演を果たし、大きな反響を呼んだ。

 お笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆき(51)から「(共演しなかったことは)意図していたことなんですか?」と問われると「全然全然!でも、浜ちゃんとは2、3年前にテレビ局の廊下で会って。すぐガン飛ばしてきたけどね『何や?』って。そのあとニカって笑うのがずるいんだよね。でも、松っちゃんとは本当に会ってなくて」と、内村は明かす。

 お互いのことを「松っちゃん」「ウッチャン」と呼ぶことについては「向こうが1歳年上なんですけどね。『夢で逢えたら』(88年放送のバラエティ)のときに『松っちゃん』『浜ちゃん』って呼んだのが、そのままになった」ことが、理由だという。

 天野から「当時、ダウンタウンさんは東京進出にあたって相当トンガッているイメージがあって。でも、お二人(ウッチャンナンチャン)とは?」と聞かれると、内村は「全然仲良かったね、相性良かったんでしょうね。全部浜ちゃんが仕切ってくれて、うちら3人がボケようが何しようが、安心感があってさ。その関係性が最初に出来上がったから、険悪になったことは本当に一度もないよ」と、話して天野を驚かせた。

大谷9勝目 103年ぶりの “ふた桁勝利 ふた桁HR”まであと1勝

大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手がレンジャーズ戦に2番・ピッチャーで先発出場し、7回を2失点に抑える好投で9勝目をあげ、103年ぶりとなる「ふた桁勝利、ふた桁ホームラン」まであと1勝としました。

大谷選手は右手首にボールが当たった影響で登板間隔をあけ、3日に本拠地アナハイムで行われたレンジャーズ戦に中8日で先発登板しました。

立ち上がりの1回に打球が右手に当たってヒットとなるなどして2アウト一塁二塁とされましたが、次のバッターをファーストゴロに打ち取りました。

2点リードの2回に右中間にツーランホームランを打たれて追いつかれ、4回には内野安打とツーベースで1アウト二塁三塁のピンチを招きましたが、160キロを超えるストレートで空振り三振を奪うなど勝ち越しは許しませんでした。

チームが1点を勝ち越した直後の7回、2アウト一塁二塁のピンチでは本拠地のファンが立ち上がって声援をおくる中、ファーストゴロに抑え、勝ち投手の権利を持ってこの回でマウンドを降りました。

エンジェルスはそのまま3対2で勝って大谷選手が自身8連勝で9勝目をあげ、ベーブ・ルース以来103年ぶりとなる「ふた桁勝利、ふた桁ホームラン」まであと1勝としました。

大谷選手は大リーグで自己最多の117球を投げて7回2失点、打たれたヒットは7本、フォアボール2つ、奪った三振は8つで、今シーズンの成績は9勝1敗、防御率は2.97となりました。

バッターとしては1回の第1打席はセカンドゴロ、3回の第2打席はサードゴロのダブルプレー、5回の第3打席はライトフライ、7回の第4打席は空振り三振で4打数ノーヒットでした。

自己最多117球の力投「自信になる」


大谷選手は大リーグで自己最多となった117球の力投を振り返り「7回はピンチの場面で交代させられてもおかしくなかったが任せてもらってありがたかったし、その期待に応えたいと思って投げた。自信になる」と話しました。

先月28日の試合で相手ピッチャーのボールが当たった右手首は今も「押したら痛い」という状況での登板でしたが、4回のピンチではこの試合最速の161.7キロをマークするなど影響を感じさせませんでした。

これで大リーグで自身初のふた桁勝利にあと1勝と迫りましたが、大谷選手は「勝つか勝たないかはもちろん大事だが、防御率など投手のスキルを測る数字の方が大事な部分かなと思っている」と話し、今後については「プレーオフを狙える位置にいないのでモチベーションを高く維持するのが難しい1か月になるが、しっかり1試合1試合やっていきたい」と残り1か月の戦いを見据えていました。

“野球の神様”ベーブ・ルース以来の快挙達成なるか


今シーズン9勝目をあげた大谷選手は「野球の神様」と言われるベーブ・ルース以来となる「ふた桁勝利、ふた桁ホームラン」の達成にあと1勝と迫りました。

同じシーズンの「ふた桁勝利、ふた桁ホームラン」は1918年に当時レッドソックスのルースが達成して以来、誰も届いていません。

この年は第一次世界大戦の影響で9月1日にレギュラーシーズンが打ち切られましたが、レッドソックスは126試合を行い、ルースはピッチャーとして13勝、バッターとしてホームラン11本をマークして初めてホームラン王のタイトルを獲得しました。

それから103年がたった今シーズン、大谷選手はここまで投打の二刀流で活躍を続け、ピッチャーとして9勝、バッターとして大リーグトップのホームラン42本をマークしています。

ルース以来の大記録にいよいよあと1勝と王手をかけ、ローテーション通りなら残り4試合ある先発登板のチャンスで快挙達成を目指します。

小1娘「給食で出たやつ食べたい」 製造会社の素敵な対応 誕生日に合わせ最速発送、手紙とおまけを添えて

「給食で出た『ひじきのり』が食べたい」。小学1年生の娘の依頼を受けて、母はメーカーを探しました。ネット通販で頼んだものの、到着予定日は娘の誕生日より後。事情を知ったメーカーは気の利いた対応をしてくれました。


自作してみたけれど

 6歳長女、4歳長男、2歳次男を子育て中の月見さん(@tmakh1991)。

 5月ごろから小学1年生の長女が「給食で出たひじきのりが食べたい」と言うようになりました。

 給食用だから一般向けには売っていないだろう、と当初は聞き流していました。

 あまりに食べたい、食べたいと言うので、自作してみたら「おいしいけど違う。これじゃない」。

 ネットで検索してみると、タカ食品工業(福岡県みやま市)の通販サイトにたどり着きました。

 給食用のジャムやマーガリンを主力としている会社で、小袋に入った「Feひじきのり」も売っていました。

 長女に見せると「これー!」と大興奮したので、10g40個入りを2セット注文。

 発注したのが8月28日で、発送は一番早くて9月8日となっていました。

 長女の誕生日である9月5日には間に合わないなと思いつつ、注文の備考欄にこんなメッセージを書きました。

 「長女が給食でひじきのりを食べて衝撃を受けたようで、いつも食べたいと言っています。9月5日が誕生日なので、その日に間に合えば大変うれしいです」

 工場の都合もあるから無理だと思いつつ、娘がこんなにも楽しみにしていることを知ってもらえたら、という思いでした。

中には手紙が

 すると9月1日に発送通知が来て、翌日に手元に届きました。

 箱を開けると、中には「Happy Birthday」と書かれた文章が入っていました。

    ◇

 お誕生日おめでとうございます。

 小学校での給食でわたしたちのつくだにを、気に入ってくれてありがとうございます。

 スタッフみんなでメッセージを読ませてもらいました。

 学校の給食で出てきそうなサンプルをおくったので食べてみてください。

 好きなあじがあるとうれしいです。

 体に気をつけて、良い一年をおすごしください

 タカ食品 スタッフ一同

 

手紙を書いた担当者は

 注文を受けた後、タカ食品工業では備考欄の文章がスタッフの間で話題になったそうです。

 通販の担当者から話を聞いた販売企画室の担当者は「絶対に間に合わせなきゃと思いました」と、当時を振り返ります。

 コロナ禍で学校があったりなかったり、子どもたちも大変だろうな。

 そんな中で給食が始まって半年も経っていない1年生が、自分たちが作った商品をこんなに楽しみにしてくれているんだ。

 そう思うと、なんとしても間に合わせて返事を書かなきゃ、と思ったといいます。

 ひらがなを多めに文章を考えましたが、「ちゃんと読めるかな」と不安だったそうです。

受け取った母親は

 手紙を読んだ月見さんは「こんなことしてくれる会社ある? 任天堂並みの心意気じゃない?」と思ったといいます。

 誕生日に渡すつもりなので、長女にはまだ知らせていません。

 当日は、たくさんのひじきのりをカゴに盛って、さらにラッピングして手渡す予定です。

 「間違いなく跳びはねて喜ぶと思います。今年は絶対最高の誕生日になります」

 長女の笑顔を写真に撮って、タカ食品工業にお礼の手紙を書くつもりだそうです。

 一連の経緯をツイッターに投稿すると、「休憩時間に涙目になりかけました」「気になってひじきのり検索しました」といったコメントが寄せられています。

 「身近な仲間で共有しようと思って投稿したので、こんなに拡散するなんて思いませんでした。ありふれた話かもしれませんが、コロナ禍の今、人の温かみが伝わる話がもっと増えたらいいなと思いました」

「復習4回」で脳をダマすことができる

理想の復習スケジュールは

ヒトの記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。短期記憶というのは、長期記憶に情報を保存したり、逆に長期記憶から情報を引き出したりするための一時的な保管場所のようなものです。

短期記憶は時間の経過や新たな情報が入ってくることですぐに忘れられてしまいます。対して、脳が本格的に情報を記憶するときに使うのが長期記憶です。いわば脳のハードディスクです。

長期記憶の容量も限られていますから、脳は仕分けを行い、「必要」と判断された情報だけが、大脳皮質に送られて長期保管されるのです。

この仕分け作業をつかさどっているのが脳の「海馬」という場所です。

海馬はどのような基準で、情報を選別するのでしょうか。それは「生命の存続に役立つかどうか」です。海馬は「生きていくために不可欠」と判断した情報だけを取捨選択して、長期記憶に送り込みます。

では学校の勉強で学ぶことは「生きていくために不可欠な情報」でしょうか。いずれ将来的には生きることに役立つかもしれませんが、当面生きるうえでは「不可欠」とはいえません。つまり、脳科学的に見れば、「いくら勉強してもなかなか身に付かない」「覚えられない」というのは、きわめて自然なことなのです。

ではどうすれば海馬に「必要な情報」と判断させられるのか。方法はただ1つ、海馬をダマすことです。

とくに手に書いたり、声に出したりしながら何度も復習することが効果的です。

せっかく覚えた漢字や英単語を忘れてしまったとしても、その単語が脳から完全に消えてしまうわけではありません。思い出せなくなっているだけで、実は無意識の世界には保存されています。

こんな実験があります。まったく意味のない単語を10個覚えてもらい経過をテストします。すると、4時間後には平均で5個しか覚えていません。ところが一度すべて忘れてしまった後、同じ10個を覚えると4時間後にも平均7個ほど覚えているのです。

学習を繰り返すことで、無意識の記憶が暗記を助けて、以前よりしっかりと覚えられるようになる。それが勉強における「復習」の効果です。

では、どのようなタイミングで何度、復習するのが効果的なのでしょうか。

 

無意識な記憶の保存期間は1カ月程度といわれています。最低でも1カ月以内に復習するようにしましょう。脳科学的に最も効率的なのは、以下のような復習スケジュールだと私は考えています。

学習した翌日に1回目(の復習)。その1週間後に2回目。さらに2週間後に3回目。さらに1カ月後に4回目。

全部で4回です。

科目や単元にもよりますが復習スケジュールをこれ以上過密にして、時間と労力をかけても、成果は変わらないことが多いようです。ただし、人によっては3回の復習で覚えられるかもしれないし、10回の復習で覚える人もいます。

自分はどれくらいのペースで復習すると覚えやすいのか、勉強しながら自分の脳の傾向を確かめてみるのがいいでしょう。

読むだけでなく、問題を解くこと

また、復習のポイントとして覚えておきたいのが、情報を暗記する「入力」だけではなく、覚えた内容をテストなどで確かめる「出力」も大事だということです。

情報の入力と出力では、脳は圧倒的に「出力」を重要視します。「この情報はこんなに使われるのか。ならば覚えなければ」と海馬は判断するのです。

勉強の仕方でいえば、教科書や参考書を何度も見直すよりも、問題集を繰り返し解くような復習法のほうがより効果的といえます。

私たちは物事を覚えるときに何かに関連付けて記憶します。

たとえば今、私の目の前にカフェオレがあるとしましょう。この言葉を覚えるときに、「カフェオレ」という単語だけ覚えても何の意味も持ちません。文字づらとしての「カフェオレ」、目で見る「カフェオレ」の色や形状、耳に届く「カフェオレ」という音、飲むときに鼻孔で受容する香りや舌で感じる味わい。こうした複数の感覚が統合されて、「カフェオレ」という1つの記憶が成立します。

 

記憶は単独の知識では成立せずに、連合によって有意義なものになります。そして連合性の高い情報であるほど、記憶しやすいのです。

前知識を持っていると物事を覚えやすいのも記憶の連合性が働くからです。

たとえば車の車種を覚える場合、車に興味のある人とまったくない人では「入りやすさ」が全然違う。車に興味がなくて、車の知識もない人は丸暗記するしかありません。しかし、車が好きで前知識がある人は「去年のプリウスはこういう形だったから、ここをマイナーチェンジしたんだ」とすっと頭に入ってくる。

記憶力はその人が持っている過去の情報量に左右されるのです。事前情報が多いほど関連付けて覚えられるので、記憶が楽になるわけです。

クラスの頭のいい子が、何でも一度で覚えてしまったり、授業を聞いただけでマスターしてしまったりすると聞くと、「記憶の天才に違いない。うちの子にはとてもまねできない」と思いがちですが、実は事前知識の蓄積の差ということもあるのです。
図を拡大
「勉強量と学習効果」の関係

大河ドラマや時代劇を見ている子が歴史の暗記が得意だったり、本好きな子が漢字に強かったりする。文部科学省の全国学力テストでも、美術館に行ったり新聞を購読したりしている家庭の子のほうが学力が高い傾向があります。文化的な経験をさせることが学校での学習の助けとなっていることを考えれば当然の結果といえます。文化的な刺激に触れることで、その分野に興味を持てば、前知識を拾いやすくなって、それが記憶につながっていく。そんないい循環を生むのです。

記憶というのは最初が一番大変です。まったく何もない状態から覚えなければいけないからです。

しかし、その苦労はずっと続くわけではなくて、ある一定のレベルに達すると、いろいろな知識と連合して覚えやすくなる。「勉強量と学習効果」の関係(図を参照)と同じで、記憶が楽になるところまで頑張れるかどうか、なのです。

池谷裕二
1970年、静岡県生まれ。薬学博士。東京大学大学院薬学系研究科准教授。『自分では気づかない、ココロの盲点』『脳には妙なクセがある』など著書多数。

「ドネアには興味がないんだ」井上尚弥との対戦を“熱望”するカシメロ。しかし、陣営は母国の英雄と「交渉中」と地元紙

“モンスター”との対決は来年へお預けか。

 

 8月14日、WBO世界バンタム級王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)はギジェルモ・リゴンドー(キューバ)を判定の末に撃破。その後、勝利インタビューで、WBAスーパー&IBF同級王者・井上尚弥(大橋ジム)へ中指を突き立てるなど、再三挑発を繰り返してきた。

 先日も、公式YouTubeにアップロードした動画で「次戦は12月11日のナオヤ・イノウエだ」と発言していたカシメロ。しかし、プロモーターを務めるショーン・ギボンズ氏によると、現在はWBC同級王者のノニト・ドネア(フィリピン)と交渉中で、その勝者が井上と対戦する予定だという。フィリピン紙『Rappler』が伝えている。
 
 記事内では、カシメロのトレーナーを務めるノノイ・ネリ氏のコメントも紹介されており、「カシメロにはイノウエを指名したいが、その件はショーンに任せている」とのこと。なお、カシメロはフィリピンへ帰国し、9月の第3週までに再びアメリカへ渡るそうだ。

 また、フィリピン紙『Business Mirror』の取材に応じたカシメロは、「(ノニト・)ドネアとの対戦には興味がない。それよりもイノウエだ」と改めて熱意を強調。一方、ギボンズ氏は、ドネア戦について「今はまだ話せないが、それを発表するかはPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)次第だ」と話している。

 現時点で正式な発表はなく、カシメロが12月11日に次戦を行なうことは確実という状況。はたして今後、3人によるボクシングファン大注目の戦いはどのような展開を見せるのか。その動向から目が離せない。

ラジオを聴き続けると、 脳が成長することを 世界で初めて実証。

実験概要18-23歳の男女各4名、計8名の大学生に、1ヶ月間毎日2時間以上ラジオを聴取してもらい、1ヶ月のラジオ聴取前後に撮影したMRI脳画像を比較分析。

 

結果1

「イメージを記憶する力」が強化

8名全員が、イメージ記憶を司る右記憶系脳番地が成長。
活性エリアは最大で2.4倍に拡大。

 

結果2

「聴く力」が強化

8名中4名が、聴く力を司る聴覚系脳番地が成長。
活性エリアは最大で2倍に拡大。

 

イメージ記憶を司る右脳の記憶系脳番地が活性化した理由

イメージ記憶は、「見ること」と関係する働きですが、直接的な視覚の入力がなくても、脳の中にイメージとして視覚情報が構築され、刺激が与えられます。音声情報だけのラジオを聴き続けることにより、言葉を想像力で補完する脳の働きが強化されることで、未発達の人が多い右脳の記憶系脳番地が活性化した、と考えられます。

 

「聴く力」の向上は、子どもの学習力アップや脳の老化予防に有効

学ぶためには「聴く力」を向上させることが重要です。学校の授業では、情報は主に音声で伝えられます。言葉を耳で聴いて理解できなければ学習にも支障が出てしまいます。「聴くこと」への注意力を高め、脳の聴く力を高めるツールとして、ラジオの継続的な聴取が有効です。

また、脳の成長は小さい頃のほうが大きいため、早ければ早いほど効果が高く、4,5歳くらいまでに始めるのが理想的です。
「見ること」と「聴くこと」を上手に結びつけながら学びに取り入れることで学力の形成に繋がります。

加えて、大事なことは聴き続けること。聴きはじめる年齢によらず、聴き続けることで継続的に脳を成長させていくことができます。

高齢者では聴覚の衰えが脳の「聴く力」の衰えを引き起こし、認知症の進行につながることが指摘されています。
諦めずにラジオをコツコツ聴き続けることで、脳の継続的に成長を促しましょう。

 

 

記憶しておきたいことは、声に出して読み上げよう

 ものを覚える秘訣は、どうやら声に出すことらしいです。

これは「生産効果(production effect)」といい、物事を記憶する一番の方法は声に出すことだという研究結果が、カナダの研究者たちによって(2010年に一度証明された後)再確認されたとCBC Newsが伝えています。

ウォータールー大学心理学教授であるColin MacLeod氏が「生産効果」と呼ぶこの現象は、覚えるべきことを声に出すと、情報が符号化(情報を覚えるときに自分が覚えやすい形式に置き換えて取り込むこと)されやすいというものです。

MacLeod教授の研究チームは、単語を黙読する、声に出して読み上げる、他人が読み上げたものを聞く、自分が読み上げた録音を聞く、という4種類の方法で、参加者にランダムな単語の一覧を記憶させ、成績を調べました。

その結果、最も多くの単語が覚えられたのは、単語を読み上げた参加者で、2番目は、自分の読み上げの録音を聞いた群、3番目は、他人の読み上げを聞いた群、そして最も成績が悪かったのが、覚えるべき単語を黙読した群でした。

MacLeod教授によると、この秘訣は、学習素材だけでなく、日常生活でも効果的だそうです。たとえば、コンロを消すときに「コンロを消した」と声に出して言うと、家を出る前に消したことを忘れにくいといいます。