デルタ株に変異4つ加わると、現行ワクチンの効果が大幅減…3つ変異はすでにトルコで確認

新型コロナウイルスのうち感染が拡大しているインド由来の変異ウイルス「デルタ株」について、特定の変異が四つ加わると、現行のワクチンでできた抗体の効果が大きく弱まる恐れがあるという研究結果を、大阪大のチームがまとめた。チームは「デルタ株に対応したワクチンの開発が重要だ」と指摘している。

 

 現在使われている米ファイザー製や米モデルナ製のワクチンは、出現初期の新型コロナの遺伝情報をもとに作られている。

 荒瀬尚(ひさし)・大阪大教授(免疫学)らのチームは、現行のワクチンで作られる抗体の一部はデルタ株に結合しないことを確認した。ただ、全体としてはデルタ株に対する有効性は維持していたという。

 しかし、デルタ株に人工的に四つの変異を加えた「デルタ4+」で調べると、従来株でできる大半の抗体が結合できず、ウイルスの感染力も強まった。デルタ4+は世界で未検出だが、うち三つの変異があるデルタ株はトルコで見つかっているという。

 一方、デルタ株をもとに作られた抗体は、従来株、デルタ株、デルタ4+の働きをいずれも抑えることを確認した。デルタ株に対応した改良ワクチンは、ファイザーやモデルナなどが開発中だ。

 東京農工大の水谷哲也教授(ウイルス学)の話「デルタ株に変異を加えないためにも、まずは感染者数を減らすことが重要だ。デルタ株に対応したワクチンの実用化も急ぐべきだ」