大会女性スタッフ、バス乗り間違えたジャマイカ選手にお金ポン…優しさが導いた「金」

東京五輪の陸上男子110メートル障害で優勝したハンスル・パーチメント選手(31)(ジャマイカ)の窮地を救った大会の女性スタッフの優しさが話題となっている。会場行きのバスを乗り間違えるアクシデントで出場が危ぶまれた選手を会場に向かわせ、金メダルに導いたお礼に、ジャマイカ政府は女性を同国へ招待すると発表した。

 パーチメント選手のSNSによると、同選手は4日、同種目の準決勝に出るために選手村から国立競技場へ向かうはずが、誤って臨海部の会場行きのバスに乗ってしまった。臨海部からバスで国立競技場に向かうには一度選手村に戻らなければならず、ウォーミングアップの時間が取れなくなりそうだったという。

 近くにいた女性スタッフに助けを求めると、手持ちのお金を渡してくれ、タクシーで国立競技場に向かうことが出来た。「おかげでウォーミングアップに十分な時間を確保し、競技に参加できた」というパーチメント選手は、準決勝を3組2着で突破。5日の決勝では、今季自己ベストの13秒04をマークして初優勝を飾った。

 決勝の後、パーチメント選手は女性に会うため再び臨海部の会場を訪れ、金メダルを差し出して「あなたのおかげで、あの日決勝に進めた」と感謝を伝えた。驚いた様子の女性にジャマイカのシャツをプレゼントし、お金も返した。

 

この時にパーチメント選手が投稿した動画が拡散され、ジャマイカのホルネス首相も自身のSNSで共有。同国観光省は10日、公式フェイスブックで、「大臣は政府を代表して(女性を)公式に招待した」と発表した。観光相は現地紙の取材に、「彼女が世界のどこにいようとも、私たちは自分たちの仲間に示された親切に報いたい」と語っている。