「内向的な性格の人こそ様々な可能性を秘めている」って本当?

内向的な性格にまつわる誤解?

内向的な性格と聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?おそらく「弱々しい感じがする」「人見知り」など、どちらかというとネガティブなイメージを持っている人の方が多いのではないでしょうか。しかし、心理学的にそのイメージには少し誤解があるように思います。まず、内向的な性格と外交的な性格について心理学的な視点から解説しますね。

内向性と外向性の違いとは?

エネルギーの方向

外向性と内向性の理論は、スイスの心理学者である、ユングが提唱した概念です。ユングは、外向性と内向性を『心のエネルギーのあり方』だとしています。言い換えるなら、「エネルギーがどこに向かうか」というとわかりやすいかもしれません。外向的な人は、外の世界にエネルギーが向きやすく、人と関わることによって精神的な満足を得るタイプ。一方で、内向的な人は、自分の内側にエネルギーが向きやすく、一人の時間を大切にすることで安定しているタイプです。

脳の刺激の受け方

心理学者・アイゼンクの理論によると、この2つのタイプの大きな違いは、脳の中にある大脳皮質の覚醒水準の程度だそうです。この説によると、内向的な人は外向的な人よりも大脳皮質の覚醒水準が高いので、刺激の影響を受けやすいと言われます。内向的な人が賑やかな環境を好まないのは、刺激の多い環境が過度に脳を刺激し、それが不快感になったり、もともと持っているパフォーマンスを下げてしまうからと言われています。ある心理学の実験では、静かで落ち着いた環境下であれば、内向型の人は外向型の人よりも、高いパフォーマンスを発揮するということが明らかになっています。なので、決して外向型の人の方が内向方の人よりも優れているということではないのです。

内向性の性格の強みとは?

 感受性の豊かさ

感受性の強さや豊かさは、内向型の人の特徴のひとつ。自分自身の中に起こる、様々な考えや感情を抱くのが上手であり、感性が豊かだと言えるでしょう。芸術的なことを仕事にしている人たちの中に内向型の人が多いのもそのためかもしれません。

人の気持ちを深く理解

内向型の人は、繊細な部分を持っているので、人の気持ちを察したり、他人のことを深く理解しようとします。時には、周囲の人たちも気づかないようなことまで気配りしていたりすることも。内向型の人がいることで、その集団が成り立っているというような場面も多くことあるでしょう。

 慎重

何か物事を行うとき、内向型の人は【安全追求タイプ】であると言われています。安全追求とは、慎重であるということ。慎重だと聞くと一見ネガティブに捉えられがちですが、実はとても大切なことです。特に他者とのコミュニケーショの中でその力が発揮されると言えるでしょう。例えば、誰かを挑発する、マウントを取るなどの攻撃的なことをすることはなく、相手と一定の距離を保つことで、安心安全な関係を保つことができるのです。

 一人の時間の使い方が上手

内向型の人は、一人の時間を充実して過ごすことが得意と言われます。周りの都合に振り回されることなく、自分で休みたい時に休み、楽しみたい時に楽しむことができるというのは、なかなかできることではありません。特に、コロナ禍にある現在は、外出や人と会うことも制限されていますし、一人の時間をうまく過ごせるといのは強みになるでしょう。

本質を見抜く力

内向型の人のクセとして、外から入ってきた情報を常に処理し、分析するというところがあります。こうしたプロセスを繰り返すことで、本質的なものを見抜く力が磨かれていいきます。内面を成長させていくには、内省する(自分の考えや言動、行動について深く省みること)が必要不可欠ですが、まさに内向型の人たちはこうしたことを日々気づかないうちに行っているのです。

内向型って実は魅力的

内向的なタイプって、実はとても魅力的なところがたくさんあるということがお分かり頂けたでしょうか。表面的にはネガティブに捉えられがちなところも、見方を変えれば長所や強みになります。自分のことを内向型だと思う、あるいは周囲の人に内向型と指摘される方は、ぜひそうした視点を取り入れてみてくださいね。

南 舞

岩手県出身。多感な思春期時代に、臨床心理学の存在を知り、人の心に丁寧に寄り添っていくカウンセラーの仕事に憧れを抱く。臨床心理学、心理カウンセリングを学ぶために、大学院まで進み、「臨床心理士」資格を取得。現在は教育、企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとは学生時代にヨガスタジオの受付のアルバイトをしていた時に出会う。ヨガを始めたことで、身体が自由になっていく感覚に楽しさを感じたこと、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。普段のクラスでは、呼吸と身体を繋げ、人と比べず、自分らしくいれるようなヨガの時間を提供できるよう心がけている。